海のベッドに寝転び、ゆっくりと手を動かす。
大空を見ながらフワフワと浮かぶ私の体に、見慣れた男の影が掛かった。





「お前ってクラゲみたいだよな」





海に浮いているからと言う意味だろうか。
等と冷静に考えるよりも先に私は失礼だと怒鳴るべきなのだろう。





「何か、掴み所ないし」

「ふわふわして、どっか行くし」

「海に紛れて見えなくなるし」





具体的な類似点を挙げる男に私はどう突っ込むべきなのか。
余りにも真剣な顔で言うから、怒鳴ろうにも怒鳴れなくなってしまった。

…確かに人波に流されてふらふらと迷子になる事は良くあるけど。





「…毒があって、迂闊に触れないし」





濡れた手が私の頬を触る。
意味不明な言葉とは裏腹、とても悲しそうな顔をして。





「…まあ、そんなクラゲに刺された訳だけど」
「…セネル…?」
「俺はマリントルーパーだから慣れっこだけどさ」





「…あんまり、これ以上刺激するなよ」





「何の事?」、そう問おうと口を開いた刹那
彼の唇が齧り付くようにそれを塞いだ。





「ん、ぐっ…!」





突然の事に沈みかけた私の体をしっかりと受け止め
逃げようとする顎を酷く乱暴に掴む。

彼の濡れた唇は海の味がして、とても冷たかった。

苦しくて涙が出る程の長いキスが終わり
はあ、と荒い息を零し酸素を取り入れる。

未だ泣きそうな顔をしている彼を見たら「何するんだ」と怒鳴る事も出来ず
私は小さく「うん」と何に対しての肯定かも分からない声を漏らした。

ただ一つ分かった事は、セネルがたまにおかしくなると言う事だけ。










1.海月(カイゲツ/クラゲ)海上を照らす月/海面に映った月/くらげ
おかしくなるぐらい夢中
修正:14/01/29