血に染まったような赤い月。

月を見ると狼に変わると言う架空の物語は
現状の僕を比喩するにはピッタリだった。





「水…」





妙に喉が渇く。
心臓がやけに五月蠅い。

ドクドクと、自らが自らに訴えかけるこの感情の正体は何だろう。





「ッ…!」





掴んでいたはずのガラスコップが床に落ち、粉々に割れる。
「ああ、しまった」と後悔すると同時、視界の端で何かが動いた。





「ジェイ…?」





ガラスが割れた音で起きただろう彼女は眠気眼を擦り
立ち尽くす僕をじっと見つめる。

声を聞き、澄んだ瞳を見れば、全身がカッと熱くなった。





「どうしたの?具合悪い…?」





起き上がり、ゆっくりと近付く少女を見て犬のように呼吸が荒くなる。
乱れた衣服の隙間から見える白い肌に今すぐ齧り付きたい衝動に陥った。

ああ、水なんていらない。
水なんて飲んだら勿体ない。





「…ジェイ…?」





やはり獲物はこれしかないだろう。

僕は暗闇の中ニヤリと笑い、疑いを知らない少女の体を押し倒す。
そしてこの鋭い爪で、貴女の心までも裂いていくのだ。










12.蒼鳥(ソウチョウ)鷹の別名
獲物を狙うエセジェイ…!
修正:14/01/29