雨が嫌いだ…いや、嫌いだった。





「今日は雨だねー…」
「そうだね」
「森に日向ぼっこ、行けないね…」
「そうだね」
「昼寝、出来ないね…」
「そうだね」





会話が止まる。
ハッと我に返り顔を上げれば、目の前には膨れっ面のちゃんがいた。





「何でそんな嬉しそうな顔で『そうだね』って言うの」
「え…オイラ、嬉しそうな顔してた…?」
「まるで私とは一緒に出掛けたくないって言ってるみたいだった」
「そ、そう言う訳じゃ…!」





…ないと言い切れないのが申し訳ない。

言葉を詰まらせたオイラをキッと睨み、ちゃんはズイッと顔を近付ける。
人の嘘にはとてつもなく敏感な子だ。





「いや、本当…!本当に残念だよ!」
「…本当?」
「うん、本当」
「…そっか!」





疑いが晴れた事にホッと安堵の息を漏らしたと同時、
すぐ隣から「ふああ」と大きな欠伸が聞こえた。





「んー…昼寝が出来ないと思ったら眠くなってきた…」
「え…いつもみたいに話さないの?」
「今日は寝たい気分!」





へら、と笑うとちゃんはオイラの肩にもたれかかり
目を閉じてから数秒も経たない内に寝息を立て始めた。





「…本当は残念じゃないんだけどね」





きっとちゃんは知らないんだろうな。
森に行ってオイラがどれだけ辛い想いをしているのか。

君が寝ている間は声も聞けず笑顔も見れない。
だから最近日向ぼっこと言うものが好きではなくなったのだ。

雨の方が、君と話す事が出来るから。

さあ、明日も来い。
恵みの雨よ。










14.慈雨(ジウ)待ち望む時に降る雨
雨の日以外はお昼寝デート
修正:14/01/29