「照れ屋っちゅうもんは扱いにくいのう」
「…は?」





何の事かと小首を傾げれば、男は至極丁寧に説明をしてくれた。

どうやら付き合い始めてから一度も私が「好き」と言わない事が気に食わないらしい。
モーゼスは少しだけ…いや、かなり凹んでいた。





「一方通行っちゅうんか?こう言うのは」
「一方通行って…付き合ってるのに」
「なら言ってくれてもええじゃろ」
「せめて先に言わせる努力をしてよ!」





と言うより、言葉にしなければこの男には何も伝わらないのだろうか。
確かに声を大にしては言わないが、今までも私なりに愛情を表現していたつもりだ。

こんなに、大好きなのに。
そう思い出したら止まらなくなっていた。





「…アカン、どがあして言わせようか考えちょったらムラムラしてきたわ…」
「何それ…って私もだけど…」
「あ?」
「もう、モーゼスが余計な事したせいでドキドキしてきた!」
「何じゃと!?」





怒鳴る相手をジッと見つめると、男はグッと喉を詰まらせる。

流れる沈黙に身を委ねれば、モーゼスはそれを了承だと受け取ったのか
腰に手を回し重ねるだけの優しいキスをした。

ああ、さっきから頭の中を埋める言葉は同じものばかり。





「大好きだよ、アンタが一番!」





温かい気持ちが溢れてくる。
だから私は、モーゼスとずっと一緒にいたいと思うんだ。










17.魚鱗(ギョリン)魚の鱗/次々に並ぶこと
次々と並ぶ愛の言葉
修正:14/01/29