嫌な夢を見た。
感想を問われた所で上手く説明は出来ないのだが、とにかく嫌だった。

が男と結婚を申し込みに来る夢だった。





「良いか、良く聞け」
「ん?」
「この世界では俺がお前の父親だ…分かるな?」
「うん」
「だから、結婚したいと思う程の男が出来たら、まず俺の元へ連れてこい」


「あ、両親へのご挨拶ってやつだ!」
「ああ、そうだ。そして俺はその男を全力で五発殴る」
「五発…?殴りすぎじゃない?」
「いいや、そんな事はない。決してない」





腕を組み頷く俺を見て、は「んー」と顎に手を当て唸り始める。
そしてとんでもない事をその口から吐き出した。





「じゃあウィル、自分の事五発殴れる?」





どうすればその言葉が出てくるのか、俺には理解不能だった。





「…何?」
「だって、五発殴るんだよね?」
「何故俺が俺を殴らなければならない」
「だって私の婚約者はウィルだもん」





これはまだ夢の続きなのだろうか。
そう思い自らの腿を抓るものの、痛みは現実だと教えてくれた。





「なんて!うそうそ!」





パッと表情を変えると、は悪戯が成功した時の子供みたいにケタケタと笑う。





「良くあるじゃん!娘が『パパと結婚するー!』って言うの!」

「あれをやってみたんだ!どう?嬉しい?ビックリした?それとも呆れた?」





固まる俺の前で少女は無邪気な笑顔を見せる。

ああ、今目の前で笑う少女を本当の娘として見れたならば
この滝のような汗も出る事はなかったのに。










19.水簾(スイレン)滝
片想いじゃないような、片想いのような
修正:14/01/29