「…」
「…」
「…ああ、もう!」





突如大声を上げた少女は地団駄を踏み
その後ろをつく青年はピタリと止まる。





「ストーカー!」
「保護者と言え」
「風呂やらトイレにまでついてくる保護者がいるか!」





街中と言う事も忘れ少女はギャーギャーと喚き
青年は少女に反論しようともせず、冷たい視線を送っていた。

そんな光景が灯台の街ウェルテスの日常茶飯事と化している。
少女に同意する女性と青年を憐れむ男性で党派まで出来上がる始末だ。

当の本人達は周りの視線に気付きもせず、今日も自分勝手に大喧嘩。





「一人でのんびり買い物したいだけだよ!」
「後ろめたい事でもあるのか?買い物なら二人でも出来るだろう」
「何それ!ワルターだってさっきこそこそ何処かに行ってたじゃん!」
「お、お前には関係ないだろう…!」
「自分は好き勝手動くのに私にはさせない訳?ふざけんな!」
「っ…言わせておけば…!」





「私は付き合って一周年のプレゼントを選びたいだけなのに!」

「お前が何かよこせと言ったから仕方なく動いてやったんだ!」





街中に響く叫び声。

少女と青年はハッと我に返った後、どちらからとも言わず視線を逸らし
真っ赤になった顔を隠すように俯いた。

党派を作る住民達は互いに顔を見合わせ笑う。
「毎度毎度喧嘩ばかりなのに、良く一年ももったものだ」、と。










2.碧雲(ヘキウン)青い雲
一年も経っていると言うのに、あの初々しさは見ているこっちまで恥ずかしくなる、とも言っていた
修正:14/01/29