今日は一体何月何日なのだろうか。

縛られた手首が痛い。
体が酷く冷えている。

それでも、目の前にいる男を睨む事は止めなかった。





「ッ…!」
「…」
「ん、ぐ…カハッ…!」





突然顎を持ち上げられ、喉に液体を流し込まれる。
液体は喉を通った瞬間熱を持った。





「ッ!?」
「…」
「…―――!…―――!」





声が出ない。
口を必死に動かしても喉を震わそうとしても、音が全く出てこないのだ。





「一時的に声帯を潰す薬でしてねえ…声、出ないでしょう?」
「…」





目を見開く私を見て男は笑みを浮かべる。

伸びてくる手を弾いて、身を捩り、私は男をきつく睨んだ。
これ以上にない殺気を混ぜて。





「…良い抵抗だ」
「ッ…」
「あまり退屈させるなよ」





やれるものならやってみろ。
男はそう言わんばかりの卑しい笑みを私へ向けた。

骨をなぞるよう肌に触れる男の手の感触に喉がヒクリと上がる。
気持ちが悪い、と更に身を捩り頻りに口を動かした。





キライ。





音にならなくとも伝われば良いとひたすらに。
行為が為されている間もただただ同じ言葉を繰り返した。





…―――薬がきれたら、同じ言葉を音に出して言ってやろう。

…―――どうせアンタは笑うだろうけど、それでもずっと言い続けてやるんだ。

…―――そしてこの檻から抜け出せるその日が来たら、真っ先にアンタを殺してやる。





…―――薬がきれたら再び同じ物を飲ませれば良いだけの話だ。

…―――その言葉だけは何があっても言わせてるつもりはない。





…―――さて、どうやって痛い目に遭わせてやろうか…私の頭の中はアンタでいっぱいだ。

…―――例え卑怯だと言われても私は薬を使い続け、その言葉から逃げるだろう。




二人を取り巻く感情。
それは殺意か、それとも愛か。










5.霊液(レイエキ)露の別名、また雨露や霧/不思議な力を持った液体/水銀
愛と殺意の感情の重さはイコール関係
06/10/09