ぐうすか寝ている私の体を誰かが揺する。
眠気眼で辺りを見渡せば、暗闇の中でジェイの姿を見つけた。





「…ジェイ…」





名前を呼ぶとクスリと笑う。
ジェイは私の手をくん、と引っ張るとモフモフ族の村を飛び出した。










辿り着いた先は街外れの花畑。

月の光を浴びるジェイの背中を見つめ小首を傾げる。

何故こんな夜更けにこんな所へ来たのだろう。
どうして私をつれて外へ出たのだろう。

…どうしてジェイは、月に照らされているのに色がないんだろう。

不思議に思い口を開いた瞬間、業火が辺りを包んだ。





「人が殺せなくてむしゃくしゃしてたんです…別に花ぐらい良いですよね?」





焼ける花を見てジェイが笑う。
愉快だ、と肩を揺らして。

無意識の内に体が退く。
ジェイはそんな私を見た後クスリと笑い、何の躊躇いもなく手を突き出した。





「まだ物足りない…全然、足りない」





突き出した手で私を押し倒すと、ジェイは唇を舐める。
彼の口から覗く舌もまた、彼の姿同様モノクロだった。





「久しぶりに人の悲鳴が聞きたくなりました」

「我慢せず啼き叫んでくださいね?…―――さん」










「ッ…!?」





夢の中で起き上がった私は、もう一度現実世界で起き上がる。

体の震えが止まらない。
あんなリアルな夢を見たのは初めてだ。





「ッ何でジェイなんだよ…!」





夢の中の少年は光を浴びているにも関わらずモノクロだった。
それが指し示す意味とは一体なんだったのだろうか。

単なる夢ならば良い。
ただもし、あれが本当に彼の負の感情であるならば。

そう考えるだけで、私の頭には恐怖の鬼火が蘇る。










6.鬼火(オニビ)夜しめった土地で燃える、青色の火/燐火/きつねび
霧は自らの欲に嘘を吐かない。
修正:14/01/29