「ううー…」
奇妙な声を出しているのは私、です。
そして視線の先にはこのご時世には珍しいブラウン管テレビ。
映っている画面は、結構前に発売されたテイルズオブレジェンディアというゲームだ。
このゲームを店頭で見た時、私はやった事もないのに「絶対に面白い!」と断言した。
それから数週間、学校が終わればゲームをつけて、寝て、
また学校へ行く日々を繰り返す。
そんな不健康な生活のお陰でたった今、やっとエンディングを見る事が出来、
そして私の選択は間違っていなかったと確信した。
コントローラーを握る私の手にボタボタと生暖かい涙が落ちる。
涙は、何回何回拭いたって止まらなかった。
「感動だよー…こんないい話作れるなんて…!」
「さすが!」と誰に言う訳でもなく拍手した。
感動から涙が溢れ、目は真っ赤だ。
ふあ、と欠伸をすれば更にポロポロと涙が零れる。
ふと壁時計に目をやればもう夜の十二時半だった。
「今日はもう寝ようかな…」
そう言って私はゲームの電源も切らずに眠りにつく。
泣き疲れていたのか、その日はいつもよりすうっと早く
深い眠りに入れた気がした。
…―――、 聞こえるか…。
…声が、する…。
誰…?
…―――急いでこちらに来るのだ。…さぁ、早く。
こちらってどちら…?
アンタは誰…?
…―――そのまま耳を傾けて、我の声を聞くが良い。
…―――そして我の望みに応えよ…。
…―――破壊の少女よ、早くこちらへ―――…
…はい?
そりゃあ私は他の女の子に比べて乱暴だしガサツだけど、
正直そのネーミングには不満を言わざるを得ないレベルだ。
…―――…さぁ、早く目を…!
…もう一眠り。
…―――さぁ、早く!
「…ッ分かったよ!開ければいいんでしょ!!」
「折角気持ち良く寝てたのに!」、
そう叫びながら私は嫌な物を取り払うように手を思いっきり横へと振った。
それとほぼ同時に耳へと入ってきたのは、ぱしゃっという水の音。
寝ぼけてる頭でも分かった。
自分の部屋には水を出す物なんてないのに、何でそんな音がするんだろうって。
「…な、に…ここ」
木、木、湖…森の中…?
どう考えてもここ、私の部屋じゃない。
上を見ればそこに天井はなく、ただただ続く青い空。
そして下を見れば尻餅をついている私の腰までつかる程の水。
「水…うわ、服びしゃびしゃ…だ…し…」
言葉を紡いでいた唇が止まる。
途切れ途切れに発した声は誰の元にも届かず消えた。
「うそ…」
大きく見開いた瞳には、キラキラと輝く糸のように細い髪が映った。
次に白い肌、フワリと水面に広がるスカート。
長い睫毛は時々ピクリと動いて
苦しそうに眉間に皺を寄せた顔さえも「美少女だ」と思った。
「シャー…リィ…?」
そう呟いた時、私の記憶と今の状況が一瞬にして重なった。
緑に囲まれたこの場所は、輝きの泉。
私の横に倒れているのは、シャーリィと言う女の子。
そして私と同じように驚き目を見開いて立ち尽くしている
銀色の髪の青年と、オレンジ色の服を着た中年の男性。
「うそ、でしょ…」
…―――間違いない、確かにここは。
私がさっきまで見ていた、二次元の世界。
「…テイルズオブ…レジェンディア…」
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...
修正:11/12/10